創業融資を検討している方の中には、「連帯保証人は必要なのか?」という不安を抱えている人が少なくありません。
「家族に頼まないといけないのでは?」「保証人がいないと融資は受けられないのでは?」と心配し、融資申請をためらってしまうケースもあります。
しかし、創業融資において連帯保証人が必ず必要というわけではありません。
実際に、日本政策金融公庫の創業融資などは原則として連帯保証人を求めない制度となっています。
また、制度や申込状況によっては保証人なしで融資を受けられるケースも十分にあります。
ただし「どの融資制度なら保証人が不要なのか」「例外的に求められるケースはあるのか」など、制度のしくみを正しく理解していないと、申請時に戸惑ったり、審査で不利になってしまうこともあります。
この記事では、創業融資における連帯保証人の扱い・必要となる条件・不要にするためのポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。
これから融資申請を考えている方や、保証人のことで迷っている方に役立つ内容をまとめました。
不安や思い込みを解消し、安心して創業準備を進められるように、まずは正しい知識を整理していきましょう。
創業融資における「連帯保証人」とは?
創業融資で言われる「連帯保証人」とは、融資を受けた人が返済できなくなった場合に、代わりに返済の義務を負う人のことです。
もし返済が滞った場合、金融機関は本人だけでなく連帯保証人にも請求することができます。
ここで注意したいのは、「連帯保証人」と「代表者個人保証」は別のものだという点です。
法人で融資を受ける場合、代表者が個人で保証する「代表者個人保証」は多くの融資で求められますが、これは連帯保証人とは扱いが異なります。
たとえば、日本政策金融公庫の創業融資では、代表者個人保証はつくものの、連帯保証人は原則不要とされています。
そのため「家族や知人に保証人をお願いしないと借りられないのでは?」という心配は、必ずしも当てはまりません。
ただし、制度・審査内容・申込条件によっては、まれに連帯保証人を求められるケースもあります。
これは「返済が難しいと判断される場合」や「自己資金が極端に少ない場合」など、リスクを減らすために金融機関が判断するケースです。
まずは、「連帯保証人は必ず必要ではない」という前提を理解しつつ、制度ごとの違いや例外パターンを知っておくことが大切です。
連帯保証人が求められるケースと求められないケース
創業融資では、連帯保証人が「求められる場合」と「求められない場合」があります。
これは、どの制度を利用するか、申込者の状況がどうかによって変わります。
まず、大きく分けると次のような違いがあります。
- 日本政策金融公庫の創業融資:連帯保証人は不要のまま申込やすい
- 信用保証協会付き融資:保証人を求められる傾向にある
- 民間金融機関の独自融資:保証人を求められる傾向にある
特に日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、家族や知人に保証人をお願いしなくても申請できる仕組みが整っています。
そのため「保証人になるのであれば、融資は借りたくない…」と諦める必要はありません。
一方で、次のような状況では保証人を求められることがあります。
- 自己資金がほとんどない、またはゼロに近い
- 事業計画の実現性が低いと判断された場合
- 過去にローンやクレジットの返済トラブルがある
このような場合、金融機関は「返済のリスク」への備えとして保証人を求めることがあります。
ただし「必ず必要」ではなく、審査によって判断されるという点は理解しておきましょう。
つまり、創業融資で連帯保証人が必要かどうかは、「制度」と「申込者の状況」で決まるということです。
日本政策金融公庫の創業融資は連帯保証人が必要?
結論から言うと、日本政策金融公庫の創業融資では連帯保証人を求められることはなく進められるケースが多いです。
特に「新規開業・スタートアップ支援資金」を利用する場合、保証人なしで融資が受けられることが多いです。
公庫がなぜ連帯保証人を求めないのかというと、創業者の挑戦を支援する制度として設計されているためです。
創業時は実績がないことが多く、「保証人を立てられないから融資が受けられない」という状況を減らすために、保証人なしでも申請できるようになっています。
とはいえ、例外的に連帯保証人を求められるケースもあります。たとえば、
- 自己資金が極端に少ない場合
- 事業計画の内容が弱く、返済能力に不安がある場合
- 夫婦や親子で共同代表になる場合
つまり、「公庫の融資=絶対に保証人不要」ではなく、審査によって判断されるという点は押さえておく必要があります。
ただし、適切な準備をすれば連帯保証人なしで融資を受けられる可能性は十分にあります。
特に、自己資金の準備や事業計画書の内容がしっかりしているほど有利になります。
連帯保証人が必要になるパターン
日本政策金融公庫の創業融資は連帯保証人なしで利用できることが多いですが、状況によっては例外的に保証人を求められる場合があります。
これは「制度が変わった」わけではなく、審査の結果、返済リスクが高いと判断された場合に限られます。
代表的な例として、次のようなケースが挙げられます。
- 自己資金が極端に少ない、またはゼロに近い場合
→ 開業にあたって本人の資金負担が小さいほど、返済の意思・準備が弱いと判断されやすくなります。 - 事業計画の実現性に不安がある場合
→ 提示した事業計画書の内容があいまい・数字の根拠が弱いと、保証人を求められることがあります。 - 過去にローンやクレジットで延滞があった場合
→ 個人信用情報の評価が低いと、融資リスクが高いと判断されるため、保証人を追加させるケースがあります。
このようなケースでも、必ず連帯保証人が必要になるわけではありません。
「返済できる体制が整っている」と判断されれば、保証人なしで通過する可能性も十分にあります。
逆に言えば、審査で不安要素があるほど保証人の必要性が高まるという仕組みです。
自己資金・事業計画・信用情報などの準備を整えることで、保証人を求められるリスクは大きく減らせます。
連帯保証人なしで創業融資を受けるために必要な要件
創業融資で連帯保証人なしで借りるために最も重要なのは、「返済できる根拠を示せるかどうか」です。
金融機関は「貸したお金がきちんと返ってくるか」を判断するため、数字・計画・準備状況を総合的にチェックします。
そのうえで、連帯保証人なしで融資を受けるために特に大切なポイントは、次の3つです。
- 自己資金が一定額あること
- 事業経験や準備状況が明確であること
- 返済可能性のある事業計画書を作成していること
以下で、それぞれのポイントを詳しく見ていきます。
自己資金が一定額あること
創業融資では、自己資金が少ないほど審査で不利になります。
日本政策金融公庫では、融資額と同じか、少なくとも3割前後の自己資金があることが理想とされています。
たとえば、500万円の融資を受けたい場合、150万円程度の自己資金がある状態が望ましいとされます。
逆に自己資金ゼロの場合、連帯保証人や担保を求められる可能性が高くなります。
事業経験や準備状況が明確であること
金融機関は「本当に事業を継続できる人なのか」を確認します。
そのため、次のような要素があると連帯保証人なしでも信用を得やすくなります。
- 同業種での勤務経験がある
- 開業までの具体的な行動ができている(物件契約・仕入先確保など)
- 資格や実績がある
経験や準備が不十分な場合は、「計画倒れになるリスク」と判断されやすくなり、保証人を求められる場合があります。
返済可能性のある事業計画書を作成していること
連帯保証人なしで融資を受けるには、事業計画書の完成度が大きなカギを握ります。
特に重視されるのは、次のようなポイントです。
- 売上・経費・利益の数字に根拠があるか
- 競合調査や市場分析をしているか
- 返済原資(どの利益から返すのか)が説明できるか
「なんとなく売上が上がるはず」では融資は通りません。
数字と裏付けを持って説明できるかどうかが、保証人なしでの融資可否を左右します。
以上のように、連帯保証人が不要かどうかは「制度の問題」だけでなく「申込者の準備レベル」に大きく左右されます。
審査でチェックされる「返済能力」の判断ポイント
創業融資の審査では、「この人は本当に返済できるのか?」という視点で細かく確認されます。
そのため、連帯保証人なしで融資を受けたい場合は、返済能力をしっかり示すことが欠かせません。
金融機関が見る主なポイントは、次の3つです。
- 事業の利益が安定して見込めるか
- 生活費と返済額のバランスが取れているか
- 数字の根拠が明確に説明できるか
まず最も重要なのは、「返済原資」となる利益が出るかどうかです。
どんなに夢のある事業でも、利益が出なければ返済はできません。
そのため、売上・経費・利益の見通しを数字で説明できることが重視されます。
さらに、審査では「生活費を含めたキャッシュフロー」も見られます。
たとえば、事業で利益が出ていても、生活費が高すぎる場合は「返済が続かない」と判断されることがあります。
また、計画に説得力を持たせるには、次のような資料の準備が効果的です。
- 見積書・契約書・仕入先の資料
- 店舗・オフィスの物件情報や賃料契約書
- 市場データ・競合調査の資料
- 過去の実績や職務経歴が分かる情報
金融機関は「実現可能性」と「数字の根拠」をセットで判断します。
資料の準備が不十分なほど、連帯保証人や担保を求められる可能性は高くなります。
つまり、「どれだけ準備しているか」が保証人の有無に直結するということです。
連帯保証人を付けるメリット・デメリット
創業融資では連帯保証人なしで借りられる制度もありますが、あえて保証人を付けることで有利になる場合もあります。
ここでは、連帯保証人を付けることによるメリットとデメリットを整理しておきましょう。
連帯保証人を付けるメリット
- 融資の審査に通りやすくなる可能性がある
→ 返済リスクが分散されるため、金融機関の判断が前向きになる場合があります。 - 希望より高い金額を借りられることがある
→ 単独では通らない融資額でも、保証人の信用力が加わることで上限が広がるケースがあります。 - 創業初期の資金繰りに余裕が生まれる
→ 借入額が増えることで、開業後の運転資金不足を防ぎやすくなります。
つまり、連帯保証人がいることで「融資額」や「審査通過率」が上がる可能性があるという点はメリットと言えます。
連帯保証人を付けるデメリット
- 返済できない場合、保証人に負担がかかる
→ 本人が返せなくなると、保証人が全額返済の義務を負います。 - 保証人自身にも審査が行われる
→ 保証人にも収入・資産・信用情報などの条件が求められます。 - 精神的な負担が大きくなる
→ プレッシャーが事業運営にも影響する場合があります。
このように、連帯保証人を付けることはメリットよりもリスクが大きい場面もあるため、「本当に必要か」を慎重に判断する必要があります。
特に創業時は、事業が軌道に乗るまでの見通しが不確実なことも多いため、保証人を立てずに済む制度を選ぶ方が安心なケースもあります。
連帯保証人にはなりたくない場合の選択肢
連帯保証人を付けたくない理由は人それぞれです。
しかし、そうした状況でも創業融資をあきらめる必要はありません。
連帯保証人を付けずに資金調達を進める方法には、次のような選択肢があります。
- 保証人不要の融資制度を利用する
→ 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」など、最初から保証人なしで申し込める制度を選ぶ方法です。 - 補助金・助成金を活用する
→ 返済不要の資金を組み合わせることで、融資額自体を少なくできる場合があります。 - 自己資金を増やして審査評価を上げる
→ 自己資金が増えると返済リスクが下がり、保証人なしでも通過しやすくなります。 - 融資以外の資金調達方法を検討する
→ 例:クラウドファンディング、創業助成金、出資型資金など。 - 事業計画書の完成度を高める
→ 数字の根拠が明確であるほど、保証人なしでも信頼を得られるため、有効な改善策になります。
特に、「保証人なしで融資を受けたい」という場合、制度選び・自己資金準備・事業計画の質が重要なカギとなります。
連帯保証人を付けない方法は、ただ制度を選ぶだけでなく、審査で信頼を得られる準備をどれだけしているかによって大きく結果が変わります。
よくある質問(FAQ)
創業融資に関するご相談の中で、特に多い質問をまとめました。
連帯保証人に関する不安を解消するために、ぜひ参考にしてください。
Q1. 代表者以外でも連帯保証人になれますか?
はい、代表者以外の人でも連帯保証人になることは可能です。
ただし、その人に安定した収入や資産があることが条件となります。親族でなくても構いませんが、保証人になる本人にも審査が行われる点は注意が必要です。
Q2. 連帯保証人なしだと融資額が少なくなりますか?
必ずしも少なくなるわけではありませんが、保証人がいない場合は審査がより慎重になります。
事業計画の内容や自己資金の割合によっては、希望額がそのまま通ることもあります。
Q3. 法人で借りる場合も、代表者個人の保証は必要ですか?
多くの場合、法人であっても代表者個人の保証は必要になります。
Q4. 信用情報に不安がある場合、連帯保証人がいれば通りますか?
連帯保証人がいても、申込者本人の信用情報が大きく影響します。
過去の延滞や金融事故がある場合、保証人がいても融資が難しくなることがあります。
Q5. 創業2年目ですが、創業融資を利用できますか?
創業融資の制度はさまざまありますが、2年目でしたら多くの制度で申し込み可能です。
こうした疑問は、制度の種類や申込者の状況によって回答が変わることがあります。
正確な判断をするためには、個別の状況を整理して確認することが大切です。
まとめ
創業融資において「連帯保証人は必ず必要」というのは誤解であり、制度や準備状況によっては保証人なしで融資を受けることも十分に可能です。
特に日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、連帯保証人不要で利用しやすい制度であり、多くの創業者が利用しています。
一方で、例外的に保証人を求められるケースもあり、審査の内容や事業計画書の質が重要な判断材料となります。
保証人なしで融資を受けるために大切なポイントは、次の3つです。
- 自己資金をしっかり準備していること
- 事業経験や開業準備の証拠があること
- 数字に根拠のある事業計画書を作成していること
創業融資は、準備内容と制度選びで結果が大きく変わる資金調達方法です。
正しい知識を持ち、必要な書類や計画を整えれば、保証人がいなくても融資の可能性は十分にあります。
まずは、「自分の状況で保証人なしの融資が可能なのか」を整理し、最適な方法を選ぶことが大切です。
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